

一緒に働きませんか?
訪問看護の仕事 ー病棟看護との違いー
病院での看護と在宅での看護の一番大きな違い、それは「看護の目的」に尽きると思います。主な目的が診療の補助なのか、療養生活の援助なのか、です。
病院での治療、看護の目的は究極的には命を守ること、疾患を治すこと、症状を軽減すること、あるいは病状の進行を遅らせることでしょうか。この目的を達成するためには医療が前面に出ざるを得ず、看護はその補助的な役割、つまり診療の補助に関わる役割が大きくなります。その人らしさ、個別性を生かした看護を提供したいと思っても治療が優先されなければならず、また病院という大きな組織の中では組織の決まりに従わざるを得ません。療養生活の援助もこの枠組みの中で行なわれることになります。
一方、在宅ではすべてのこと、何時に起きるか、何時に寝るか、何を食べるか食べないか、お風呂に入るか入らないか、どこに行くか行かないか、生活にかかわる全てを決めるのは利用者本人です。その人の習慣、思考、希望、能力、年齢や疾患に応じて生活が行われます。これがまさにその人らしさ、個別性です。もちろん、疾患や加齢による様々な症状があり、治療を受けている状態で生活をしておられます。在宅看護の目的はこの、治療を受けながら生活する利用者の、まさに療養上の世話なのです。つまり、医療の知識、技術を持ちながら、その人らしい生活を続けられることを支えるのが訪問看護の仕事と言えます。
訪問看護師の働き方 ー概要はこんな感じー
基本的には月曜日から金曜日まで、8:30から17:30の間に利用者宅を訪問します。一回の訪問時間は30分から60分、多い日で1日に4件から5件の訪問があります。一人の利用者の訪問曜日と時間は固定されており、月に1回から毎日の訪問までの幅がありますが、ほとんどの場合は週に1回から2回です。
利用者宅への移動は事業所の軽自動車、原付バイクを使います。直行直帰する場合などは自家用車の使用も可能です。この場合はガソリン代が支給されます。また、事務所の近くの利用者宅へは散歩がてら歩いていくこともあります。事務所は柳が崎の琵琶湖岸にあり、事務所の大きな窓からは広大な緑地と琵琶湖、対岸の草津、瀬田方面が見渡せます。
制服など訪問に必要なものはすべて貸与されます。聴診器と靴だけは個人のものを使っています。
電子カルテを採用しており、利用者に関するすべての情報は電子カルテ上で扱われます。この電子カルテはタブレット又はスマートフォン上で操作することができるので、訪問先で利用者の情報を確認したり、訪問の合間に看護記録を入力することができます。
オンコール制はとっていません。夜間の電話当番はありません。
緊急時の対応、一人だと不安 ー大丈夫!ー
訪問看護では、利用者宅に入ってしまえば一人で看護を提供することになります。何かあったらどう判断、対処していいか分からない、と言う不安があるかと思います。在宅看護の経験を積んでもこの不安はいつも付きまといます。ある判断、対応が適切であるかどうかを決めるのは医学的な正しさだけではありません。例えば終末期で在宅で最期まで過ごしたいと願っている利用者がいます。この利用者の意識レベルが急に低下した時に救急搬送するのは医学的には正しいかもしれませんが、看護としては適切でしょうか?この利用者が転倒骨折した場合は?この場合は治療の提供が必要でしょうか。こう考えていくと、決まった正解はないことが分かります。その人の疾患、年齢、思想、宗教観、死生観、家庭環境など、さまざまな要因で最適と思われる対応を選択する必要があります。
それでも訪問先で、一人で、判断に困った時はサポートを得る手段がいくつもあります。緊急でない場合は持ち帰ってほかの職員に相談する、本人、家族の意向を確認する、主治医に電話で連絡、相談することもできます。その場で決断しないといけない時は、ほかの職員や管理者に電話で相談することができます。早急に治療が必要な状況では、受診を勧めたり、緊急時には救急搬送を要請することもあります。いずれにしても、訪問先では一人でも、利用者には関連機関を含むチーム全体で関わっているのです。情報共有のため、事務所内では常に非公式で自発的なカンファレンスが行われている状況です。また、週に1回のミーティングを行っています。
在宅看護が未経験の看護師は、まずは先輩看護師の訪問に同行し、利用者の状況や具体的な看護を見学します。慣れてきてある程度自信が付けば一人での訪問を開始します。様々な疾患の知識が必要にはなりますが、上にも書いたように在宅看護の目的は診療の補助ではなく療養生活の援助です。医学的な正解だけではなく、その人にとっての正解に近づくためには、疾患、治療に関する知識だけではなく、その人を知ること、その人の個別性を知ること、そしてそれを最大限に尊重することが何よりも大切です。
求める看護師像 ーあなたの看護観が大切ー
以上のことから、当ステーションでは病棟勤務経験最低3年、できれば5年以上が望ましいと考えます。性別、年齢、家庭環境は問いません。自分の看護観や死生観を持ちながら、それを押し付けないこと。自分の意見を伝えられ、他人の意見を聞けること。問題があれば建設的に解決策を探れること。何よりも看護が好きで、ひとと関わるのが好きで、それによって自分も成長していける、そのような看護師を求めています。